改修か?建て替えか?
老朽化した建物をどうすべきか判断のポイントを解説
今回は、老朽化したオフィスビルなどの建物を改修するのか、いっそのこと建て替えした方がいいのか、その選択のポイントについてご紹介をしていきたいと思います。
ビルは老朽化してくると、様々な不具合が生じてきます。
ビルは老朽化すると、資産価値が低減してしまうため、テナントビル等は賃料収入が減少してしまうことにつながります。
また、老朽化した建物は、時代のニーズ合った機能を実現できなかったり、設備の故障など安全性の低下も問題になります。
そのため、ビルを安全に使用し続けるために、適切なメンテナンスや更新工事が必要になりますが、建物が老朽化するにつれて、メンテナンスの頻度も上がり、維持管理費も高騰していきます。
その際、改修して建物を使い続けた方がよいのか、いっそのこと建て替えをするべきなのか悩まれることが多いかと思います。
そこで、建て替えするべきかどうかを見分ける判断基準として、代表的な観点を4つご紹介いたします。
ポイント①:不適格建物に該当するか
不適格建物は、確認申請を下付した際には問題なかったが、法令などの改正により現在は基準を満たしていない建物のことです。
不適格建物を使用し続けるかどうかは改修するか、建て替えするかを検討する際の一つの観点になります。
ポイント②:建物の法定耐用年数
建造物には、法律で定められた耐用年数があります。
下記は事務所用途の建物の耐用年数を記したものになります。事務所以外では、店舗用や工場用など、それぞれで異なった法定耐用年数が定められております。
詳しくは国税庁の運営するサイトに記載がありますので、そちらを参考ください。
構造 | 年数 |
木造・合成樹脂造のもの | 24 |
木骨モルタル造のもの | 22 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの | 50 |
レンガ造・石造・ブロック造のもの | 41 |
金属造のもの(骨格肉厚が4㎜を超えるもの) | 38 |
金属造のもの(骨格肉厚が3㎜を超え、4㎜未満のもの) | 30 |
金属造のもの(骨格肉厚が3㎜以下のもの) | 22 |
法定耐用年数を超えた建物は、融資を受けづらくなるなどのデメリットがあるため、建て替えを検討する際の、一つの判断のポイントとなります。
これは、多くの金融機関が法定耐用年数を融資基準にしているためです。
ただ、上記の法定耐用年数は、あくまでも減価償却のための数値であり、資産価値を計算するために用いられます。
そのため、法定耐用年数は建物自体の寿命を表すわけではなく、法定耐用年数を超えているからと言って、すぐに建て替えが必要となるわけではありません。
これから必要となる維持管理費などを鑑みて、建て替えするかどうかを決定することとなります。
ポイント③:耐震基準
ビルの改修、建て替えを検討する際には、安全性に注目する必要があります。
ビルのオーナー様にとって、テナントビルであれば入居者や自社ビルであれば社員など、利用者の安全確保は必ず必要になります。
その一つが耐震性です。
建物の耐震性が適切かどうかを判断する目安が、建築基準法が規定する耐震基準を超えているかどうかです。
建物は耐震基準を超えるように建設されますが、注意が必要なのが、1981年6月1日以前に確認申請が下付された建築物です。
1981年6月1日に新たな建築基準法が施行され、それまでは、「震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと」が基準となっていたところ、「中地震では軽微なひび割れ程度の損傷にとどめ、震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けないこと」という基準になりました。
耐震基準を満たすために、建て替えをするというのも一つの判断基準となります。
ポイント④:設備・配線の老朽化
設備の老朽化具合も、建物を改修するか建て替えするのかの一つの判断基準となります。
特に、空調設備は長期間使用していると故障しますが、当時の空調システムと現在の空調システムが異なるほか、部品も製造されていないため、修理するとなると莫大な費用が掛かるケースがあります。
空調のほかにもエレベーターなどでも、長期間使用している建物に設置されている設備を当時の古い構造やシステムのまま、現在の法的基準などに合わせるための改修を行う場合は多くの費用が掛かります。
配管がコンクリートの中に埋め込まれている建物も多く、コンクリートに埋め込まれた配管は修理や交換ができません。既存の配管ルートとは別で新しい配管を設置することも可能ですが、この改修も多額の費用を要することが多いです。
老朽化した設備を改修して使い続けるかという点も、建て替えを検討する際には重要な観点の一つです。
もちろん、上記の4つのポイントのほかにも、改修か建て替えかを判断するためのポイントがあります。
老朽化した建物をどうするべきか迷ったら大建設計工務にご相談ください。
これまでの建物の利用状況や、メンテナンス状況など、建物を現状に応じて、最適なご提案を致します。
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